2026.09.18 マガジン

【調達・購買担当者様へ】なぜ商社を通すと仕入れは高くなるのか。多重下請け構造の仕組みと、直接調達で変わること

仕入価格の見直しを考える時、多くの担当者が最初に当たるのは「相見積もりを取っても、思ったほど下がらない」という壁です。その理由は、交渉の巧拙ではなく、価格の中身にあります。仕入価格には製造原価のほかに、工場から手元に届くまでの流通の費用が含まれています。本記事では、その流通の構造がなぜ生まれ、なぜ残っているのか、そして直接調達で何が変わるのかを解説します。

仕入価格のうち、製造原価はどれくらいか

当社が調べた例を2つ挙げます。いずれも当社の調査による推定値です。

  • 住宅・商業施設向けのトイレ(一般グレード): 小売価格 約30万円のうち、推定の製造原価は3.2万円。残りの26.8万円(約89%)が流通等の費用
  • ホテル・宿泊施設向けのマットレス(スタンダード): 小売価格 約24万円のうち、推定の製造原価は2.8万円。残りの21.2万円(約88%)が流通等の費用

流通等の費用には、輸送、保管、営業、保証、各社の利益が含まれます。すべてが無駄という話ではありません。ただ、価格の大半が製造以外で決まっている以上、工場との交渉や相見積もりだけでは、下げられる幅が限られます。

多重下請け構造は、なぜ生まれたのか

海外の工場で作られた商品が国内の企業に届くまでには、メーカー、総代理店(一次卸)、二次卸、販売代理店など、平均4.7社が関わっています。この構造は、1960〜80年代の高度成長期に合理的な仕組みとして発達しました。

  • 海外の情報が限られ、どの工場が何を作れるのかを知る手段が無かった
  • 言語と商習慣の壁が高く、仲介者なしに交渉ができなかった
  • 物流、通関、代金の回収を、専門家なしに行えなかった

当時の商社や専門卸は、情報と関係を仲介し、リスクを引き受けるという価値を提供していました。

前提は変わったが、構造は残っている

2020年代の今、この3つの前提は大きく変わりました。インターネットで工場の情報を直接調べられます。翻訳の技術と AI で言語の壁は低くなりました。国際物流は効率化され、小口の輸入も珍しくありません。

それでも流通の段数は、大きくは変わっていません。各段階でマージンが積み上がるため、製造原価に対して最大100%の中間マージンが上乗せされるケースがあります。製造原価100円の商品が、手元に届く時には200円になっている、という構造です。

中間マージンが流通の段階ごとに積み上がる図

商社を通すことが、常に損というわけではない

公平のために書くと、商社や卸を通す価値が残る場面もあります。

  • 少量を多品種で、短い納期で欲しい時。国内に在庫を持つ卸の方が早く、結果的に安く済みます
  • 与信や支払条件を重視する時。掛け払いや分割納品に応じてくれるのは、国内の取引先の強みです
  • 不良やトラブルの時に、日本語ですぐ対応してほしい時

見直す価値が大きいのは、その逆の品目です。年間を通じて同じ仕様のものを、まとまった数量で買い続けている品目では、流通の段数がそのままコストとして残り続けます。

直接調達(Factory Direct Model)で変わること

当社の Factory Direct Model(FDM)は、海外の一次工場と企業を直接つなぎ、中間の段数を減らす調達の仕組みです。工場の選定、見積の比較、サンプルの検証、検品、輸入物流までを一括で担います。

  • 削減率は品目と調達の形によって10〜50%の幅があり、導入企業の平均は約30%です
  • 品質は、出荷前の検品と、サンプルでの事前検証で担保します。工場任せにはしません
  • 通関、関税、国内配送までを含めた「手元に届く価格」で比較します。工場の出荷価格だけを見て判断すると、輸送費や関税で逆転することがあるためです

自社の仕入れで確かめる3つの問い

次の3つに当てはまる品目があれば、見直しの余地があります。

  1. 年間を通じて、同じ仕様のものを買い続けている
  2. 年間の仕入額が数百万円以上ある
  3. 仕入先に「これはどこの工場で作っていますか」と聞いても、答えが返ってこない

まとめ

仕入価格が下がりにくいのは、価格の大半が製造以外の流通で決まっているためです。その流通の構造は、かつては合理的でしたが、前提が変わった今も形だけが残っています。すべての品目を直接調達に切り替える必要はありません。数量がまとまっていて仕様が変わらない品目から、工場直結の価格と比べてみることをおすすめします。

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